がんばってGASとGeminiでAI秘書を組み立て、毎朝きちんと通知が届くようになった。それ自体は嬉しいのに、いざ届いた通知を見ると「今日の予定はこれとこれです」と、ただ並べているだけ。カレンダーを自分で開いても分かることばかりで、なんだか物足りない。そんなふうに感じている方は少なくないはずです。
作ったAI秘書が動くようになったあとの本当のテーマは、通知の中身を自分の仕事に寄せて育てていくことです。この記事では、作り方そのものではなく「動いたけれど、しっくりこない」を「頼りになる」に変えるチューニングに絞って整理します。仕組みの作り方からおさらいしたい方は、GeminiとGASでメール・予定を自動化するAI秘書を先に読むと流れがつかめます。


動いたのに通知が「ただの予定コピペ」になる理由
まず起きていることを整理します。多くの場合、AI秘書に渡している指示は「今日の予定とメールを教えて」くらいのざっくりしたものになっています。これだと、AIは受け取った予定とメールを、要約して並べ直すくらいのことしかできません。
人間の秘書に「今日の予定を教えて」とだけ頼めば、たしかに予定を読み上げてくれます。でも本当に助かるのは、そこから一歩踏み込んで「この打ち合わせは資料が要りますよ」「この件は返信がまだですよ」と、判断を添えてくれるときのはずです。AIへの指示も同じで、何を判断してほしいのかまで伝えないと、判断のない通知しか返ってきません。
しっくりこない原因は、AIへの指示(プロンプト)が大ざっぱなこと
AI秘書の通知の質は、ほとんどがプロンプトで決まります。プロンプトとは、AIに何をどうしてほしいかを伝える指示文のことです。
ここが大ざっぱだと、AIは「無難に、当たり障りなく」まとめようとします。予定を時系列で並べ、メールをざっと要約する。それ以上のことは頼まれていないので、しません。逆に言えば、指示を具体的にするほど、通知はあなたの仕事の仕方に近づいていきます。


出力を自分に寄せる4つの型
通知を役立つものにするとき、実際によく効くのは次の4つの方向です。全部を一度に盛り込む必要はなく、自分の朝にいちばん効きそうなものから選びます。
- 優先順位づけ型:予定とメールを見たうえで、今日いちばん先に手をつけるべきことを1つか2つ挙げてもらう。並べるのではなく、順番をつけてもらうのがポイントです。
- 準備物つき型:それぞれの予定に対して、事前に用意しておくべき資料や持ち物を添えてもらう。打ち合わせ前の「あれ、資料は」を減らせます。
- 要返信メールだけ型:受信メールの中から、今日中に返事が必要そうなものだけを拾ってもらう。全部の要約ではなく、動くべきものに絞ります。
- 一言サマリ型:長い通知ではなく「今日は午後の商談準備が最優先です」のように、まず一言で全体像を渡してもらう。忙しい朝に眺めやすくなります。
この4つは組み合わせても構いませんが、最初は1つに絞るほうが、効果が分かりやすくなります。
そのまま使える通知チューニング用プロンプト雛形
考え方だけだと動きにくいので、実際に指示文へ足せる雛形を3つ用意しました。AI秘書のプロンプト部分を、次のような書き方に置き換えてみてください。
朝の優先順位版: 「今日のカレンダーの予定と、未読メールの要点をふまえて、今日いちばん先に手をつけるべきことを優先度順に3つまで挙げてください。それぞれ、なぜ優先なのかを一言添えてください。」
要返信だけ版: 「未読メールの中から、今日中に返信が必要そうなものだけを選び、誰から・何の件か・いつまでに返すべきかの3点を短くまとめてください。返信が不要なものは省いてください。」
準備物つき版: 「今日の予定を時間順に並べ、それぞれについて、事前に準備しておくべき資料や持ち物があれば一言で添えてください。準備が不要な予定は、予定名だけで構いません。」
これらは、いまのAI秘書のプロンプトを丸ごと差し替えるのではなく、既存の指示に一段付け足す感覚で使うと安全です。
プロンプトの直し方は、一度に全部でなく1項目ずつ
チューニングでいちばんつまずくのは、あれもこれもと欲張って一度に指示を盛り込んでしまうことです。優先順位も、準備物も、返信の要否も、サマリも、と全部詰め込むと、どこが効いてどこが効いていないのか分からなくなります。
おすすめは、1項目ずつ変えて、翌朝の通知で確かめる進め方です。今日は優先順位づけだけを足す。数日ためして、しっくりくるか見る。次に準備物を足す。この順で進めると、変えた指示と結果の変化が一対一で結びつき、自分の仕事に本当に合う形へ近づけていけます。もし指示の書き換えそのものに手こずるなら、変えたい点を言葉でAIに伝えて指示文を組み立て直してもらう進め方もあります。その考え方はバイブコーディングとはで整理しています。


実行時間と頻度も見直す──課金と鬱陶しさのバランス
中身のチューニングと合わせて、いつ・どのくらいの頻度で動かすかも見直す価値があります。
AI秘書は決めた時間に自動で動きますが、これを短い間隔でくり返す設定にすると、二つの困りごとが出ます。ひとつは、無料の範囲を超えたときの課金です。呼び出す回数が増えるほど料金が発生しやすくなるので、朝1回で足りるなら朝1回にとどめるのが安心です。もうひとつは、単純に通知が多すぎて鬱陶しくなることです。頻繁に届くと、かえって見なくなってしまいます。自分がいちばん通知を活かせるタイミングに、必要な回数だけ動かす。この見直しで、使い心地はずいぶん変わります。
個人情報を読ませている、という自覚を持つ
最後に、育てていくうえで忘れたくない前提があります。このAI秘書は、あなたのメールやカレンダーという、かなり個人的な情報を読んで処理しています。
便利になるほど、この点はつい意識から外れがちです。どんな情報を読み取り、その結果をどこへ通知しているのか。中身をAIに作ってもらった場合でも、この流れは大まかに把握しておきたいところです。仕組みを丸ごとブラックボックスにしないことが、安心して使い続けるための土台になります。APIキーの扱いなど、周辺の注意点はAPIキーをクライアント側に書いてはいけない理由もあわせて押さえておくと安心です。
今日やれる、通知チューニングの手順
読んで終わりにせず、今日のうちに一歩進めるための手順です。
- いまのAI秘書のプロンプトを見つけ、書いてある指示を読み返す。
- 上の4つの型から、自分の朝にいちばん効きそうなものを1つだけ選ぶ。
- 対応する雛形を、既存の指示に一段だけ付け足す。
- 翌朝の通知を見て、しっくりくるか確かめる。
- 数日ためして良ければ次の1項目を足す。合わなければ元に戻す。
この1項目ずつのサイクルが、AI秘書を自分の相棒に育てる近道です。
まとめ
- 通知が予定のコピペのように味気ないのは、仕組みではなく、AIへの指示が大ざっぱなことが原因のことが多い。
- 出力を寄せる型は4つ。優先順位づけ・準備物つき・要返信だけ・一言サマリ。まず1つに絞る。
- 直すときは一度に全部でなく、1項目ずつ変えて翌朝の通知で確かめる。
- 実行の頻度は必要な分にとどめる。課金と、通知の鬱陶しさの両方を防げる。
- 個人的な情報を読ませている自覚を持ち、何をどこへ送っているかは把握しておく。
独学でつまずきやすいのは、こうしたチューニングの知識そのものよりも「何をどの順番で試し、どこから手をつけるか」です。自動化を自分の仕事に馴染ませる進め方も、あなたの目標から逆算した学ぶ順番の一部として、1対1で一緒に整理できます。




